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前歯だけ整えたい。その希望だけで部分矯正は決めません。

  • 執筆者の写真: 章貴 山田
    章貴 山田
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

私は、「前歯だけを整えたい」という希望をお持ちの方は多くいらっしゃいます。

しかし、その希望だけで前歯だけを動かしてよいとは考えていません。

部分矯正でよいかどうかは、歯科医師が責任を持って判断することだからです。

経験を積んだ歯科医師は部分矯正がとても難しいことをよく理解しています。


見えているのは前歯でも、治療するのは口の中です


鏡で気になるのは、前歯の重なりや隙間かもしれません。

一方で、前歯の位置は、奥歯の噛み合わせや顎を動かしたときの接触と無関係ではありません。

前歯だけを並べた結果、今の噛み合わせを悪くする場合や悪いままの状態で終わるのなら、その治療はお引き受けできません。患者さんの希望を尊重することと、希望された治療をそのまま行うことは別です。


部分矯正を考える前に、私たちが確認すること


まず、上下の歯並びと奥歯の噛み合わせを確認します。

歯を並べる場所がどこにあるのか、前歯をどの方向へどれだけ動かすのかも見ます。

さらに、顎の関節の状態、歯の根、歯を支える骨、歯ぐきの厚み、治療済みの歯も確認します。

薄い歯ぐきや骨の幅が薄い場合で歯を動かす時、歯肉退縮などへの配慮が必要です。

この確認をせずに、「前歯だけだから簡単です」とは説明できません。

前歯だけ動かすということは、一見簡単そうに思えるかもしれませんが、実際は矯正治療の制限が多く難しいということです。


部分矯正で対応できることもあります


前歯だけの部分矯正が検討できる場合

問題が前歯の限られた範囲にあり、噛み合わせや歯周組織に無理がないなら、部分矯正を検討できます。ただし、動かす歯が少ないことと、診断が簡単であることは同じではありません。


全体矯正を提案する場合

全体の噛み合わせに問題がある場合や、必要な歯の移動が部分矯正の範囲を超える場合もあります。

そのときは全体矯正を提案するか、希望する範囲では治療できないとお伝えします。

治療期間と費用も、動かす歯の数だけでは決まりません。診査後に、可能な治療範囲とともにお伝えします。


短い治療なら、後戻りしないわけではありません


矯正治療後の歯には、元の位置へ戻ろうとする変化が起こり得ます。

部分矯正でも保定装置が必要で、どの装置をどれくらい使うかは治療計画に含まれます。

治療前には、整えられる範囲だけでなく、治療後に守る方法まで説明します。


治療を受けるかどうかは、説明を聞いてから決めてください


私たちは、まず「治った状態をどう考えるか」を患者さんと共有します。

そのうえで、現在の状態、部分矯正でできること、残る問題、全体矯正という選択肢を説明します。

費用や期間も確認し、治療を受けるかどうかは患者さんに決めていただきます。

受けないという決断も尊重します。

しかし、健康や機能を害すると判断した治療は、希望されても行いません。

前歯が気になったときは、装置を選ぶ前に、成人の矯正治療について確認してください。

せっかく見た目が綺麗になっても、健康を害するような治療結果では本末転倒だと思います。


参考情報

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